金の相場と上手な買い方

直近では1gが12,000円超となっていますが、ほんの数年前まで5,000円を下回っておりました。親世代は1,000円台の頃もあり、金(ゴールド)の買取も随分と賑わっているようですが、それ以上に金の需要が大きく価格が上昇基調にあります。

金の総量ですが、これまでの採掘量がオリンピック公式競技用プールの約3.8杯分で、残りの埋蔵量は1/3ほどしかないと言われています。

今の採掘技術では採掘できない場所もあり、今後価格があがり、採掘技術が進歩すると将来採掘量が増える可能性はあります。(このあたり過去から言われている石油と環境がやや似ていますね)

金の利用用途をスマホの基盤などに使われる工業需要と、宝飾需要とに分けた際に、大昔から宝飾需要が強い金属です。(逆に白金ことプラチナは工業需要が強く、自動車の触媒に利用されるなどしてきましたが、某自動車会社の排ガス不正以降、現在価格としては低迷しています) それだけに金は実需がいつの時代もあると思われます。

金の過去と性質

かつて、金本位性の時代は兌換紙幣と言われ、金と紙幣を交換できました。すなわち昔は金そのものがマネーの役割をしていました。時代とともに信用創造(大雑排な表現ですが、お金を貸すこと)が大きくなると紙幣の流通量が多くなるため、金の準備が間に合わなくなり、現在の様に不換紙幣となりました。しかし、前述で宝飾需要が強い金属であること、埋蔵量が限られていること、そして世界共通のマネーとしての役割を持っていることから、中央銀行でも外貨準備資産として一部保有しています。

金価格と世界情勢

金は物質ですので、金利がつきません。そのため、現在の様に世界的に金利が高い際には、一般的に金の価格には不利に働くことがセオリーです。しかしながら、ここまで価格が上がり続けている背景には、地政学リスクが大きく、ウクライナ戦争以降、ロシアは外貨準備資産が凍結されました。そこで一番驚いたのは中国です。外貨準備資産として大量の米国債(米ドル)を保有していましたが、売却して金の保有を増やし続けています。イスラエルのパレスチナ問題も然り、地政学リスクも相まって世界的な需要を後押ししているようです。

金の価格推移

(白線がドル建て金価格、オレンジ線がS&P500)

金で使われる1トロイオンス(toz)は約31.1gと一般的なオンス(oz)の約28gと重さの単位が異なります。なお、日本の金価格はこのドル建て1トロイオンスを基に円建てに換算されます。従って為替の影響も大きく受けることに留意する必要があります。(図の金価格はドル建て1tozの価格)

1985年1月から2024年1月のドル建て金価格は約7倍となっています。(同期間のS&P500は約28倍) 株価とのパフォーマンスを比較することの良し悪しではなく、ご覧の通り株価の値動きと必ず連動している訳ではありません。むしろ、株価下落局面で金が底堅く動いている時もあり、そのことからもリスク分散になっており、資産を組み合わせる上での選択肢となっています。

金の買い方

金投資においても積立をされる方が多いですが、大きくは2つの方法があります。それぞれについて、ご紹介致します。

純金積立投資

大手貴金属会社をはじめ、ネット証券等で現物の金の積立を扱っています。それぞれの特徴を比較します。

貴金属会社
  • 現物の地金やコインを購入可能
  • 積立てた金を(比較的少量から)地金やコインに換えることが可能
  • (会社によっては)自社のジュエリーなどとの等価交換可能
証券会社等
  • 積立時の取引手数料が安価
  • 売買のスプレッド(買値と売値の差)が若干狭い

※)貴金属会社によっては毎月設定する積立額に応じて手数料が異なるため、条件次第では必ずしも取引手数料が不利とは言い切れません。また、保管料は無料なのが一般的です。年会費はネット取引だと無料とする会社が多いです。(店頭取引など、有料の場合もあり)

ETF等の証券投資

金が証券化された商品として、投資信託とETFがあります。ETFは上場投信と呼ばれるように株と同様の取引ができます。NISA(成長投資枠)を活用することも可能です。代表的な2つのETFをご紹介します。

  • SPDRゴールド・シェア(1326) ドル建ての金価格(現物)に連動するように投資
  • 純金上場投信(1540) 円建て1gあたりの金価格(現物)に連動するように投資

(上半分:白線・右軸がドル建て金価格、オレンジ線・左軸がSPDRゴールド・シェア、下半分:青線・右軸がドル円)

金の円建て価格が為替の影響を受けていることがわかります。

(白線・右軸が純金上場投信、オレンジ線・左軸がSPDRゴールド・シェア)

ほぼ同じ値動きですが、SPDRゴールド・シェアの方がややパフォーマンスが高いです。信託報酬の違いも影響しているものと考察します。(信託報酬:SPDRゴールド・シェア 0.44%/年  、 純金上場投信 0.539%/年)

税制面

純金積立

自分自身が積立てた金を売った際の売却益は「譲渡所得」に分類されます。保有期間が5年超か5年未満かによってもかわります。両方期間とも50万円の特別控除があります。売却益が100万円あった場合の保有期間による所得額の違いを例示します。

5年以内(短期譲渡所得) 利益100万円-特別控除50万円50万円が課税対象

5年超(長期譲渡所得) (利益100万円-特別控除50万円)×1/225万円が課税対象

課税対象額について、給与所得などと他の所得と合算して所得税を支払うことになります。

上記の場合、確定申告にて納税する必要があります。なお、1回の取引で200万円を超える場合は取引した会社から「支払調書」(取引内容が記載されている書面)が所管税務署へ提出されます。

ETF等

NISA(成長投資枠)を活用すれば非課税です。そうでない場合は、他の上場株と同様に利益に対して20.315%の税率がかかります。

 

皆様、いかがでしたでしょうか。

私自身はいつか地金に加工し、リスクヘッジ資産として金そのものを持ちたく思い、純金積立てをしていますが、積立てにはそれぞれの特徴があります。ご興味がある方は、目的や目標、リスクキャパシティに応じて投資をするのが良いのではないでしょうか。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインはデジタルゴールドと近年表現されることがありますが、その辺りは別のコラムで触れたいと思います。

今後も様々な情報を発信していきます。

個別のご相談も是非ご連絡ください! それでは次回のコラムも是非お楽しみにお待ちください!

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